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サードライフ研究

桐生 悠一

1.まえがき   2.老いるとはどういうことか   3.自宅でどこまで頑張れるか   4.老人ホームの種類   5.介護が必要になった時、自宅で頑張りきれるか   さいごに  

1.まえがき

   日本は1994年に購買平準価GDPで中国に追い抜かれ、2001年に1人当りの名目GDPでも米国に追い抜かれた。 2002年のIMD国際競争力ランキングでは韓国とマーレシアに抜かれ、30位に後退している。 ムーデイーズは日本国債の格付けをチリ、ハンガリー、チエコ、ボツワナより低いA2(A)に引き下げた。
  しかし、この日本が世界に誇ってよいものがある。2002年簡易生命表によると日本人の平均寿命は女性85.23歳、男性78.32歳で女性は2位のフランスを2.5歳も上回るダントツで、男性も2位のアイスランドを1.5歳上回り3年連続の1位である。
  1951年の平均寿命は男性59.57歳、女性62.98歳であった。1947年に生まれた人々のうち男性の約40%、 女性の49%が65歳に達するに過ぎなかったが、2000年には男性の85%、女性の93%が生存するようになった。
 

表1 2002年簡易生命表
年 齢(歳) 平 均 寿 命 (歳)
0 78.32 85.23
60 81.92 87.40
70 84.32 88.69
80 88.25 91.02
90 94.24 95.56

 
   この急激な長寿化は我々が前例が無い状況に突入していることを意味している。 日頃から身近にこのような長寿の人々を多数見かけておれば、夫々の生き方を参考に、「あの人を見習えば良いのだな」 とか、「自分ならこうしてもう少し良い結果を得るのだが」、とかケーススタデイーをして自分の価値観に合った方向へ軌道修正して世代毎に少しずつ賢くなって行くことができる。ところが現在65歳を超えた人々にはこのような先達が存在しない。先人達の生き様、死に様を見て自分の人生計画をより良くすることが出来ない時代に突入している。
  この長寿化は人類史上始めての事態なのであり、日本がその最先端を走っている。 他の国々は日本が如何にこの事態に対応するか、その壮大な実験を固唾を呑んで見守っている。

2.老いるとはどういうことか

  我々が属する各種のコミユニテイーは、比較的年齢が接近している人々の集まりであることが多い。そのようなコミュニティーでは特定の人たちが徐々に老いて行く様を観察することはできない。  
  私は日本基督教団K教会に属している。この教会は会員総数324人、平均礼拝出席者数191人である。 現在60歳以上は181人(56%)と高齢化傾向が顕著になりつつある。私はここに11年前からお世話になっている。 この11年間、追跡調査をしてきた訳で、勿論例外はあるが、平均的には人はどのように老いて行くかが理解できるよう になってきた。  
  73~75歳前後に一つの大きな断層があるようだ。明らかに老いを感じさせる変化だ。 眼に力が無くなる。皮膚の張りが無くなって鑞人形の肌のような感じになる。顔が少し痩せて烏のような印象になる。 この辺から踏張りが利かなくなって口だけは出るが、中々手が出なくなる。変化の自覚による焦りか色んなことをやろうとして超積極的になる場合がある。最後の足掻きなのかも知れない。私が参加したお忙し型の海外ツアーで会った最年長者O氏は73歳であった。あの元気なら後2年間ほどは海外旅行が出来たろうと思う。55歳頃からここまでをシニア前期と定義しよう。  
  これを越すと限界が判ってか体力の範囲で安全運転するようになる。自分のことは自分で出来るし、 やる気なら執筆、国内旅行、工作、運転などはまだまだ充分に可能である。  
  男性で83歳、女性で87歳辺りで、これまで出来ていた炊事、入浴等の生活上必要なルーチンがこなせなくなる。 他人の介助が必要になる年齢である。ここまでをハイエイジ前期としよう。厚生労働省は60−74歳を前期高齢者、 75歳以上を後期高齢者と分類している。  
  これを過ぎるとどうなるか。次の文章が参考になろう。スウィフト(1667〜1745)のガリバー旅行記で ガリバーは4つの国を訪れる。「小人国リリパット」「大人国ブロブディングナム」「馬の国フィヌム(YAHOOが出てくる )」そして「浮島ラピュタ」である。最後の本でガリバーはルツツガナンギエン(Luggnaggian)という不死の呪いを受けた 人々を訪ねる。「90歳で彼らは歯も髪も抜け・・・喜びも食欲もなく飲み食いし・・・ 絶えず病に冒され・・・・そして200歳の終わりに、彼らはもはや通常の生命で生きる近隣の人たちとの会話が 通じなくなり、このように彼らは自分自身の土地にいながら、居心地の悪い異邦人の立場に自分を置くより仕方がな くなった。」高齢者問題などなかった300年前に、ここまで老いの本質に迫った著者の洞察力に敬服する。 これがハイエイジ後期である。
  因みに、2002年度の国民健康保険医療費統計によると、国民1人あたり70歳以上は727,000円で70歳未満の 206,764円の3.5倍であり、やはり高齢者の医療費は断然大きい。  
  勿論、聖路加病院の日野原先生のような例外も稀にはいる。老いの現象が顕著に現れる多くの人々 とそうでない稀な人々が存在する。自分が稀な方に入れると考えるより、平均的に老いると考えて人生設計を した方が間違いが少ない。 topに戻る

3.自宅でどこまで頑張れるか

   最近販売されているマンションは基本的にバリアフリーである。そうでない時代に建てられた自宅に住んでいる人はバリアフリーにしてでも自宅で頑張れるか。車椅子になることを考えて廊下やトイレを広くするか。 実際に車椅子が必要になる人は10%もいない。早手回しに家中に手摺を付けたが、実際その年になってみたら全然高さが合わなかった、歩けなくなった父親のために改築したが、痴呆が進んだら全く役立たなくなった、等の話を聞く。神ならぬ人の身、未来を予測して適切な対策を前以て打つのは非常に難しい。これらの対応はシニア後期からハイエイジ前期に備えるものであろう。  
  自宅で自立して頑張れるのは男性80~82歳、女性85~87歳までくらいではなかろうか。「その辺で死ぬから 丁度よいではないか」という声が聞こえてくるが、平均寿命は表1にあるように高齢者になる前に死んだ人まで 入っていることに注意が必要である。現在70歳の男性は78歳ではなく84歳まで生きると覚悟しなくてはならない。 死ぬまでの数年間、ハイエイジ後期はほぼ確実に他人の世話にならないと生活できない。ぽっくり逝ければハツピー である。  
  自宅で頑張るのが困難だとすると、どのように対応すべきなのか。これまでの人たちは最後まで自宅に 住んで、最後に風邪をこじらせて肺炎などで病院に入れられ、そこで死ぬことが多かった。 現在はなかなかそうも行かず、過去の事例は我々にはあまり参考にならない。 topに戻る

4.老人ホームの種類

4・1 有料老人ホーム(介護専用型)

  老舗であるSVK社の例をとると、トイレ洗面付き個室15m2(4.5坪)、預託金は70代で約2300万円、 80代で1600万円、途中死亡時は滞在年数に応じて払い戻す。食事を含む一切の経費月額は18~20万円で、 預託金は月額換算約10万円に相当するから、ネット換算で月額30万円に相当する。 これまではこのレベルのものが標準的であったが、最近は入居金1000万円を下回る低料金タイプが登場しつつある。東京都や神奈川県で本年6月以降に開業した事例を次頁の表2に示す。なお、ネット換算で月額40万円級のハイクラスの施設も存在し、建物や設備類はホテル級で素晴らしいのだが、入居者が埋まらなくて苦戦しているところが多い。  
  (社)全国有料老人ホーム協会の調査によると、入居時の平均年齢は男性72.2歳、女性70.3歳で、 単身入居50.4%、夫婦での入居が45.3%である。このデータは感覚的には入居年齢が若過ぎるようで、若干納得いかない。  
  民営であるから国からの補助金は一切ない。この金額で介護一切を賄って来たから、これまでは経営は楽ではなかったと思う。1年前、介護保険制度ができて介護サービス料を申請・給付されるようになり、経営的に一息ついているようだ。  
  入居者の半数以上が軽重の差はあっても痴呆であり、介護は決して楽ではない。SVK社の場合、入居者100 人に対して、スタッフ120人(パート、アルバイトを含む)と称する。現実の高齢者の半数以上が痴呆になる訳ではないので、痴呆の人たちが選択的に入居していると推定できる。現在はまだまだ健常な高齢者は自宅で頑張っていることが多く、痴呆になって家族の手に負えなくなってからやっと決心がついてこのような施設に入居させるケースが多いようである。  
  多くの施設で健常者と痴呆者は食堂、集会室等を別にして、それとなく分別管理をしている。SVK社で感心するのは、週末に健常者を招待して食堂で賑やかに宴会をすることで、ここで経営者は入居者の観察をしているようだ。ケアハウス等に時々見られるボス支配やいじめ発生の未然防止も兼ねているように思われる。  
  健常者は健常者同士で友人として社会生活を営んでいる。年齢的にも近く、 経済力や社会的立場も比較的似通った人たちの集団であり、友情が芽生えるのは早い。 これらの人たちの多くは長生きなので、、古くからの友人たちは既に世に無い場合が多い。 移動能力も低下しており、自宅にいたのでは新しい友人を作ることは不可能で、完全な孤独に陥り易い。 この終の棲家で新しい友情を育むことは人生の最後を彩る素晴らしい機会ではなかろうか。
 
表2 東京圏で本年開業した介護専用老人ホーム事例

東京圏で本年開業した介護専用老人ホーム事例
名称(所在地) 事業者 入居一時金(万円) 月額料金(万円) 居室の広さ(u) 開業日
Lコミューン西葛西 LC 300 27 18 6月1日
G西大泉 (練馬) SK 500~11000 17〜27 15〜31 8月1日
Kホームはるひ野 KS 800 19 118〜201 8月1日
青葉台T園 NS 900 19 13 8月12日

低入居金老人ホーム:表2の記事では「低入居料金老人ホーム」と紹介されていた(2003/6/23日本経済新聞)が、私はSVK社と比較してそれほど低料金とはいえないように思う。表2の最上段の事例では入居金は300万円と低いが、その分は月額料金で回収する方式である。第4段の事例の入居金は入居後余命が10年として月額約7万円であり、入居金は実質的に家賃の前取りに相当する。13u(4坪)といってもアパートと違って食堂、ホール、浴場、炊事場、事務所、洗濯場、リネン室、スタッフ控室、廊下等付帯設備があり、実質はその倍くらいになる。特に安価でもなく、相場相応のように思う。

都心型老人ホームの出現:ベネッセは都内の高級住宅地を中心に介護付き有料老人ホーム「アリア」シリーズを来年1月の杉並区宮前の「アリア久我山」を皮切りに展開する。(2003/9/3日本経済新聞)入居金は2500万円で、同グループが首都圏を中心に展開する「くらら」「まどか」シリーズの500~800万円に比べ高めだ、とある。各個室は21uあり、これまでの事例でお判りいただけたように、部屋が広いから入居金も高いと理解できる。セントラルメディカルズや(コーヒーの)ユニマットグループも浜田山、新宿、目黒、祖師谷、本所といった都心部に、都市の高齢者が抵抗なく入居できる有料老人ホームを続々開設予定である。入居金の高低はあっても月額料金は殆どのケースで20万円前後で、目覚しい差は無いようである。老人ホームは人里離れた閑静な地にあるというこれまでの常識は修正を要するようだ。これらの事例紹介で料金の相場をご理解いただけたと思う。

中々払い切れない月額分:10年前には有料老人ホームに入ることは殆どの高齢者の選択肢の中に無かった。しかし、この数年で高齢者の考え方が急速に変りつつある。80歳近くの人たちの間で有料老人ホームに行くことが最善の選択肢と考えられるようになりつつある。問題は経済力である。ハイエイジ前期が視野に入った人たちが躊躇する最大の理由は、「入居金は何とかなるが、月額経費を払いきれるか」という悩みである。国民年金の給付月額67,000円では不足分を貯蓄で補わねばならないが、自分が何歳まで生きるのか判らない恐ろしい高齢化社会で払い続ける自信がなくて悩んでいるケースが多い。「子孫に美田を残さず」と自宅を売却しても土地価格の下落と金利ゼロで不足分を賄い切れないリスクが大きい。夫婦で入居して月々40万円の経費支払いができるのはよほど恵まれた条件の人である。経済的に有料老人ホームを選択し切れない場合は、次に出てくるケアハウス等を検討することになろう。

3/7 事前によく調べよう:さて、有料老人ホームの選定に際しては、人の意見を鵜呑みせず、 三ヶ所くらい体験入所するのが望ましいという。また、日本老人ホーム紹介センターが定期的にセミナー を開催するなど情報収集の場もある。厚生労働省に老人福祉法で定めた老人ホームの届け出件数は昨年7月時点で 494であった。東京圏の有料老人ホームは過去1.5年で2倍に増加したとの報道がある。 事前に必ず契約書と重要事項説明書をよく読み、サービスの中身や退去時の返還金等を確認したい。 信用力の判断基準は「入居率7割」と専門家はいう。 topに戻る

4・2 有料老人ホーム(自立型)

  多くの有料老人ホームが介護専用型と自立型を併設している。外出、外食自由の一種の長期滞在ホテルである。独身女性の多くが60代から入居する。この人たちは実に思い切りがよい。2年前、杉並区に開所したS社の例では1階と3階が自立型で、それこそアッという間に満室になってしまった。2階は介護専用型で、これがなかなか埋まらなかった。自立型の部屋は調理器具やシャワーなどが設けられており、快適な一人暮らしができる環境が整えられてある。
  預託金、月額費用は介護専用型とほぼ同じレベルである。当然ながら、介護が必要になったら介護専用型の 方へ殆ど追加費用なしで移してくれるケースが多い(契約書に注意)。 topに戻る

4・3 軽費老人ホーム、ケアハウス

  社会福祉法人等が所有、運営する介護専用型老人ホームであって、介護度1~3程度の人々が入、居する施設 である。国や自治体が建築費の凡そ8割、運営費の相当部分に対して補助金を出している。当然、預託金はなし、 入居者の収入に勘案して食事等一切の経費月額が決められる。6~13万円の範囲が多いという。 一定以上の収入がある人は入居できない。生活保護を受けている人が2~3割程度入居している場合が多い。 金がない方が国の面倒見が良い、というのはこのことを指している。入居者間のこれまでの社会的立場の範囲が 非常に広く、また、ボス支配やいじめが発生したりして耐えられなくなるリスクもあると聞く。 東京都にはこの系統に属する軽費Aは10ヵ所、軽費Bは5ヵ所、ケアハウスは建設中を入れて24ヵ所、合計39ヶ所ある。  
  なお、ここにも民間活力を入れなくてはならないということから、昨年から民間会社が参入できることになった。 2002/8/7日本経済新聞に「杉並区ケアハウス優先交渉権を獲得/ベネッセケア、PFIで初」の記事がある。「杉並区が建設予定のケアハウス(軽費老人ホーム)の運営事業者として優先交渉先に選定しており、PFI方式で民間企業がケアハウス運営に参入するのは全国で初めてになる。同社は全国に有料老人ホーム23ヵ所を展開・・・同社が建設した後、区に売却し、事業期間中賃借して運営する。月額利用料は20万円程度と、これまで同社が手がけてきた有料老人ホームより10万円程度安く設定する。ケアハウスは低額の料金で高齢者が入居し、食事や介護を受けられる施設で、今年度から民間企業の参入が認められた。」とある。 topに戻る

4・4 特別養護老人ホーム

   社会福祉法人等が所有、運営する介護専用型老人ホームであって、介護度1~3程度の人々が入居する施設である。国や自治体が建築費の凡そ8割、運営費の相当部分に対して補助金を出している。当然、預託金はなし、入居者の収入に勘案して食事等一切の経費月額が決められる。6~13万円の範囲が多いという。一定以上の収入がある人は入居できない。生活保護を受けている人が2~3割程度入居している場合が多い。金がない方が国の面倒見が良い、というのはこのことを指している。入居者間のこれまでの社会的立場の範囲が非常に広く、また、ボス支配やいじめが発生したりして耐えられなくなるリスクもあると聞く。法規では要介護以上の介護度の高齢者を収容するが、実態は優先的に入居する介護度4~5程度の人たちによって占められている。介護度については、次頁に表3として掲げる。ここでの措置費は月額271,000円を上限としており、本人と家族の所得に応じて0~24万円の入居費用を徴集する。徴収額の平均値は45,000円である。差額は国の補助金で補給される。  
  社会福祉法人等の所有、運営であることは軽費老人ホームと同じである。「重度介護を要するので、採算を考えると民間会社の参入は困難でないか。」と役所はいうが、現実にはSVK社の経営者が最近参入している。
  2002/5/26日本経済新聞に「一人暮らし・介護必要性高い/特養など優先入所」とある。「(特養ホーム、老人保健施設、長期療養型病院は)これまでは自治体が所得や生活状況から入居者を決めていたが、介護保険制度で個人が直接希望する施設に申込み順で入れるようになった。しかし本当に必要な人が入れない問題が表面化して、厚生労働省は運営基準を改め、家族の状況や要介護度なども勘案できるようにする。」とある。
  2002/8/7日本経済新聞に「特養入所希望者/『1年以内に入りたい』3割(28%)に止まる/都が3万人に調査」とあり、「都福祉局は『入居希望者が増えているといわれるが、緊急に入所が必要な人はそれほど多くない』とみている。・・・入居希望者は1人当り2.6ヵ所の施設に申し込んでいる。・・・現在、施設に入所していない人の61%は『いずれ入所したいが、現在は今の生活を続けたい。』としている。」とある。
  実はこのようなオーバーブツキング問題は有料老人ホームにもあり、「100人待ちだ、200人待ちだ、というが、皆さん何ヶ所も掛け持ちで申し込んでいるので、実態は思いがけなく早く入れますよ。」と経営者の人がいっていた。
  なお、特別養護老人ホームは1部屋に6~8人も収容して人間としての尊厳が守られていないと評判が悪かったが、今般、国は今後の施設は全て個室方式とすることを決定し、既にその規格の施設が稼働し始めた。個室料金を徴収する。軽費老人ホームの方はまだそのような改善はないが、何れ同じ水準で運営されることになろう。
 

表3 要介護度ごとの状態の例と給付月額(単位: 円/月)
要介護度 身の周りの
世話
複雑な動作 移動の動作 排泄や食事 問題行動や
理解の低下
給付金額
最高限度額
要支援
社会的支援を要する状態
居室の掃除などの身の回りの世話の一部に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とすることがある 排泄や食事は、殆ど自分ひとりでできる 61,500
要介護1
部分的な介護を要する状態
身嗜みや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作に何らかの支えを必要とする 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とすることがある 問題行動や理解の低下が見られることがある 165,800
要介護2
軽度の介護を要する状態
身嗜みや居室の掃除などの身の回りの世話に何らかの介助(見守りや手助け)を必要とする 歩行や両足での立位保持などの移動の動作に何らかの支えを必要とする 排泄や食事に、何らかの介助(見守りや手助け)を必要とすることがある 194,800
要介護3
中程度の介護を要する状態
身嗜みや居室の総司などの身の回りの世話が自分ひとりではできない 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が自分ひとりでできない 歩行や両足での立位保持などの移動の動作がひとりでできないことがある 排泄が自分ひとりでできない 幾つかの問題行動や理解の低下が見られることがある 267,500
要介護4
重度の介護を要する状態
身嗜みや居室の掃除などの身の回りの世話が殆どできない 立ち上がりや片足での立位保持などの複雑な動作が殆どできない 歩行や両足での立位保持などの移動の動作がひとりではできない 排泄が殆どできない 多くの問題行動や全般的な理解の低下が見られることがある 306,000
要介護5
最重度の介護を要する状態
歩行や両足での立位保持などの移動の動作が殆どできない 排泄や食事が殆どできない 358,300

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4・5 その他の高齢者住居

   私の周辺でもK氏のような健常自立の70歳未満の人が医療機関付きの高齢者マンシヨンに移転する 例が現れ始めた。そこは医療法人の経営であり、性格的には自立型の有料老人ホームだが、実質はより充実した 小規模な一般マンシヨンである。介護が必要になった段階ではヘルパーが必要な都度派遣されて、 在宅介護が行われる。  
  更に必要となれば特別養護老人ホームへとシフトできると聞く。このようにライフステージの進行に 合わせて最も適した施設に移って行くのがこれからの理想のライフスタイルになると思われる。
  この他に共生型住居として痴呆性高齢者や障害者が入居するグループハウス、 比較的元気な高齢者が共同生活するグループリビングがある。コレクティブハウスは若年層から高齢者層まで 多世代が集う集合住宅のことで、居住者が炊事など生活の一部を共同で行う。  
  コーポラティブハウスは居住者が組合を作って土地を購入し、話し合いを通じて建物の間取りなど を決めて行く住宅のことである。某所にこの例があり、作られた時点では一つの理想の姿と思われたが、 現在は入居者が一斉に更に高齢化して介護が必要になり始め、次のライフステージに繋がらなくて困っている。  
  高齢者にとっては、医療機関が近くにあること、ライフステージに合わせて追加的な費用を要せず 最適の施設にシリーズで移動していける道が引かれていることが必要である。

  なお、以上の説明で民間のものと行政が関与するものがあるが、行政が関与するものは 補助金に魅力がある(入居金ゼロ、月額安い等)が、平均的には民間に比べて行政が提供しているサービスの内容は きめ細かさにおいて見劣りがするようだ。  
  1991〜1998年にかけて有料老人ホームの倒産が相次いだ時期があったが、 これは経営者が不動産や株に過剰な投資をしたのが原因で、現在は問題のあるところは淘汰されて、 残った施設の経営の安定性は格段に向上している。  
  「需要のあるところ、供給あり」で、最近の1.5年、で東京都の有料老人ホームの収容人員が2倍に増加しており、 国も産業のサービス化の一つの分野として雇用の誘導を試みているので、事情は刻々変化し、 多分利用者にとって望ましい方向へ進展すると思われる。今後も情報収集に努めたい。 topに戻る

5.介護が必要になった時、自宅で頑張りきれるか

  通常、無理である。松下幸之助氏もある年齢からは自宅から出て松下病院で生活していた。 新入社員への訓示等の行事にはここから出向いておられた。  
  重度の介護が必要な人の生活を支えるには、通常3人以上の専任者が必要といわれる。 米国の大富豪の例では6人の介護スタッフを抱えている。施設では多数の入居者を多数のスタツフで生活支援するから 経済的に運営できる。1人が対象の場合にはピークロードに合わせて支援人数が要るため平均的な稼働率が低くなり、 非常に不経済である。もし、これを家族がやるとしたら地獄である。必ず犠牲者が出ている。
  よく「あそこは娘さんがいるから老後の世話をして貰えていいわね。」という人がいるがとんでもない話である 。確かに男の子が熱心に老親の面倒を見ることは少ない。その点で女の子は頼れるが、 所帯持ちであればそれにも限度がある。独身女性の場合は介護に専念して貰えるであろうが、 娘さんの老後はどうなるのか。
  私の知る例でN協会に勤務し定年になった独身男性がいる。老母が痴呆になり介護が必要となった。 本人の美学があって最期の親孝行として自宅介護を選んだ。ベテランの通いの看護婦1名を付けて日中は対応した。 夜間は息子が対応する訳で、この体制で約4年間頑張り、老母は最期は短期間入院して世を去った。 本人は目下燃え尽き症候群である。  
  この例は結果的に期間が限られていたが、通常は老親はもっと長生きする。 その場合はこの程度では絶対に済まない。昔は親はもっと早く世を去った。最期の面倒を見る期間も短かった。 現代は前人未踏の領域に踏み込んでいる。もはや老親の面倒を子供が見切れる時代ではない。親はそのことを覚って、ハイエイジ後期に至ったら、子供に迷惑を掛けないようにこれまで説明したライフステージを計画的に選択実行すべきである。
  また、自宅で頑張り通すと古くからの友人達は次々と失われ、新しい人間関係を育む機会が全く無い。 老人ホームとの最大の違いがここにある。 孤独を愛する人はそれにも耐えるかも知れないが、人間とは人の間と 書くように、人間関係を失ってしまっては人生は味気ないものである。 その点からも自宅で頑張り通す選択肢には問題がある。 topに戻る

さいごに

 
  私の母は10年前は「年をとっても老人ホームには入りたくない」と老人ホームに対してネガティブな評価 をしていた。88歳の米寿の祝いまでは片道700mの道を歩いて生協市場まで買い物に出かけ、同居の三男と二人暮し を切り盛りしていた。しかし、流石に段々買い物が辛そうで、見守る我々はどこで引退の線引きをするかを 見計らっていた。変換点は突然来た。以前通っていた教会の引退牧師夫妻が突然2ヶ月間に共に亡くなられた。 女学校時代の友人の訃報が届いた。短期間にシヨツキングなニユースの連続打を受け、 気落ちした母は風邪で倒れ、救援を求めて来た。約3ヶ月間は風邪の治りが遅いだけだと皆が思っていた。 名古屋の知り合いの医師が私が送った病状日誌を見て「老人性うつ病である」と診立て、心療内科がある 私立病院に入院してもらい、SSRI(選択的セロトニン再吸収阻止剤)の投与で快方に向かい、 1年後には約80%、2年後には完全に元に戻った。母は「この病院のような(給食、介助入浴、 清潔、室温一定)所にいたい」という。それこそ老人ホームそのものである。こうしてSVK社へお世話になった。 母はいまも大満足である。私たちは切羽詰った事情の中で多数の老人ホームを調査し、 入居待ちの間に預ける施設を捜し、いつしか老人ホームに関しては詳しくなった。 自宅介護している知人たちの情報収集もした。知り合いの医師は社会復帰型(リハビリ型)の施設の経営者でもあり、ここからも老人介護に関して多数の情報を頂戴した。
  親が緩慢に体力低下して行く場合、どこが決心の時か非常に判断が難しい。 私の母のように病気になると、治癒しても体力は不連続に半分以下に低下した(歳をとってから重病を患うと、 ガクツと弱る)ので迷い無く決断ができた。親が生きておられる方たちは早晩このような局面に遭われる 可能性が大きい。また、これは長寿時代に生きる我々自身の身の処し方にも繋がるし、親が自分の老後をどうする 積りか見守っているあなたの子供たちのためにもなる。その意味で皆さんのご判断の助けになれば幸いである。

  以 上

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